卯の花の 匂う垣根にほととぎす 
   早も来鳴きて 忍び音もらす 夏は来ぬ
      ………文部省唱歌佐々木信綱作詞

かつては、夏の到来を知らせる歌でしたが、卯の花の垣根も
あまり 見られなくなった昨今では、季節は 卯の花や ほととぎすを
忘れてしまったみたいです。

春されば 卯の花くたし 吾が越えし
      妹が垣根は 荒れにけるかも −万葉集−

時わたず 降れる雪かと 見るまでに
     垣根もたわに 咲ける 卯の花 −後撰集−

卯の花や 馬に物言う 蓑の人     −巌谷小波− 

卯の花や 流るるものに 花明り   −松本たかし−

うのはな(空木)
枝が古くなると中心がうつろ
になるからといわれる。
卯の花は、日本人の暮らしのすぐそばにあった花木だったのですね。

うのはな=豆腐のおから、卯の花に見立てた命名。
うのはなあえ、うのはな煎りなど、美味しいお惣菜です。
因みに 青梅の里 ままごと屋さんの「うのはな煎り」
はおすすめです。

ヲ時 鳥(ほととぎす)=古来 春の花、夏の時鳥、秋の月、冬の雪として
            四季を代表する詠題とされています。
  

ほととぎすの異名
卯月鳥(うづきどり)=卯月は陰暦4月の異名、太陽暦では5月。卯の花の咲く5月に鳴く鳥。

田長鳥(たおさどり)=田植の時期を知らせる鳥という意味。

蜀 魂(ほととぎす)=古代中国・蜀の望帝が、臣下の妻に恋して、その為に亡びた時、
           ほととぎすが啼いたので人々は ほととぎすを蜀帝の魂の化した
           鳥として、こう記すようになったといわれます。 
ヲ植物名=ほととぎす。ゆり科のしぶい野草の名。
     鳥のほととぎすの胸毛にそっくりな斑点模様があります。

ほととぎすの花
ヲ小 説=不如帰<ほととぎす>と読みます。明治の文豪徳富蘆花の小説。
ヲ俳句の雑誌=ほととぎす。正岡子規・高浜虚子主宰編集した俳句雑誌名
日本では、この夜啼く不吉な鳥のイメージから、
ひと声を待ちこがれる歌よみ人の風流な鳥に変っていきました。

陽暦六月は、日本の雨季梅雨どきですが、陰暦六月は現代の七月ですから炎暑
のため水が涸れる月、水の無い月ということです。
でも、詳しいことは置いておいて…みなづきの語感は、反対に瑞々しく聞こえる
のは妙でしょうか。

                水無月の 雲の耳より 月生まる 加藤楸邨
雨という文字

日本は、世界でも有数の多雨の国です。雨の呼び名も多いし、雨を使った文字も多いですよ。
雨の象形文字…空から水滴が落ちている形。

雨かんむりの文字
…降る雪、洗い浄める。
  雪辱(せつじょく)…恥をそそぐ、名誉を取り戻す。
  雪案(せつあん)…苦学するたとえ。中国晋の孫康という人が
           油が無くて、雪の光りで勉強したという故事から。
                 ------蛍の光 窓の雪。ですね。
(しずく)
(ひょう)
霍乱(かくらん)…暑気あたり
(つゆ)…夜降る露。消えやすく、はかないこと。
      少しばかり<露ほども>、むき出しになる<露見する>
霽月(せいげつ)…雨上がりの晴れ渡った空の月
(あい)…もや、薄い霧が立ちこめるようす。
       和気藹々(わきあいあい)…
和やかなようす。

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